進化論の衝突:ニッチ形成

もう少ししつこくこの論文(↓)を読んでみます。

Does evolutionary theory need a rethink? : Nature News & Comment

 

改革陣営が批判する保守陣営の理論の骨組みは以下の通りです。

  1. ランダムな遺伝子変異により新しい変異体が生じる。
  2. DNAを通じて継承が起こる。
  3. 自然選択が適応の唯一の原因である。

まず、ランダムに遺伝子変異が生じて、その結果生じた表現型の変異がたまたまそのときの環境に適応的ならば自然選択され、それが子孫に遺伝して、進化が進む、ということです。

具体的な対立点を見るために、改革陣営が挙げている以下の4つの現象を一つずつ取り上げます。 

  • 発生学的バイアス
  • (表現型)可塑性
  • ニッチ形成
  • 非遺伝学的継承

改革陣営の主張は、保守陣営はこれら4つの点を進化の結果としか見なさないが、実際にはこれらは進化の原因で(も)ある、ということです。

ニッチ形成

対比の都合上ニッチ形成から見てみます。まず「ニッチ形成 (niche construction) 」とは何かと思い、上記論文の著者のホームページ (http://lalandlab.st-andrews.ac.uk/niche/Evolution.html) を見てみると、

 ニッチ形成とは、生物が自身の代謝、活動、および選択を通して、自身および他者のニッチ(住む環境)を変化させるプロセスである。

 とのことです。

 

たとえば、鳥が巣を作ってそこに住むことによって、より生き抜くことが容易になる。したがって、巣を作るという行為自体に適応した進化が起こりうる。つまり自分の行為が原因となって自分が進化するということですね。これが革新陣営の主張です。

 

これに対して保守陣営はそのような現象(生物とそのニッチのフィードバック)はもう100年以上も研究されていると主張します。ダーウィンもすでにシロアリとその巣の相互依存について研究していたそうです。

 

というわけで、この点に関しては革新陣営は分が悪そう、というか最初から何も問題ないやん!て感じですね。問題があるとすれば、これは「巣を作る」と「巣に、あるいは巣を作るように、適応する」というのが卵と鶏の関係になっていることでしょうか。初めて巣を作った鳥は、遺伝子変異のせいでそうしたのか、何らかの学習によってそうしたのか(獲得形質)。これらのどちらなのかということが分かれば決着のつく問題かもしれませんが、それも難しそうです。