進化論の衝突:非遺伝学的的継承

まだしつこく続きます…

Does evolutionary theory need a rethink? : Nature News & Comment

 

非遺伝学的継承

なんと日本語訳してよいのか分かりませんが、原語では extra-genetic inheritance で「遺伝子以外のものの継承」です*1

 

改革陣営はエピジェネティックな変異が世代を超えて継承されること(もあるということ)から、遺伝子の継承(普通の意味での「遺伝」)だけでは説明できないことがある、と主張します。この記事の構成を見ると、上記4つのポイントのうちで、この点だけがわざわざ一つの段落を費やして書かれていることから、これが改革陣営のもっとも強い主張であると考えられます。

 

しかし、保守陣営はにべもなく「遺伝子から完全に切り離されたエピジェネティックな継承(非遺伝学的継承)を示す事実は知られていない」と突き放します。これは真っ当な科学的態度だと言わざるを得ません。この反応に対して、改革陣営ができることは観察/実験事実を着実に積み上げることしかなさそうです。

 

それに、エピジェネティックな変化というのはゲノムDNA配列の変化ではなくて、クロマチン修飾の変化なので、いつそれが解除されてもおかしくありません。エピジェネティックな継承があるにしても、いつかはそれが何らかの形でゲノムDNAの配列の変化として反映されなければ、それは「進化」とは呼べません。しかし革新陣営は「エピゲノム→ゲノム」転移がいかに可能なのかに関しては何も述べていません……

*1:geneticは普通「遺伝的」と訳して、inheritanceも「継承」のほかに「遺伝」という場合もあるので混乱します。genetic はあえて「遺伝学的」と「学」を入れて訳すことにします。