進化論の衝突: 表現型可塑性

Does evolutionary theory need a rethink? : Nature News & Comment

「表現型可塑性」とは遺伝子型が同一でありながら、表現型が異なりうることを言います。遺伝子変異を伴わないので、例えば環境の変化に対して素早く応答することができます。

変革陣営は、表現型可塑性による表現型変異は遺伝子変異に先立って起こり、その表現型変異を固定化する遺伝子変異があとから追随すると主張します。しかし遺伝子変異がどのように「追随」するのかははっきりとは述べておらず、そうなると、従来の総合説と同様に、有利な変異が少しずつ積み重なる、という仕組みと実はそれほど変わらないのではないかと思います。

一方保守陣営は、従来から表現型可塑性を無視しているわけではない、といいます。例として、木が光のよくあたる方へ伸びることをあげています。ここで注意すべきは、「柔軟に形などを変化させる能力自体」が自然選択に有利であったから、そのように進化してきたのだと彼らが考えていることです。つまり可塑性自体が遺伝子変異によって生じたということを重視しているわけです。これは確かにそうでしょう。しかし、これは変革陣営が言いたいこととはすれ違っています。変革陣営は可塑性はすでにあるものとしたとき、その可塑性によって新しい表現型が誘導される可能性について語っているのです。ここでも、具体的な表現型を重視する変革陣営と、軽視する保守陣営の違いがでています。